水族館の近くの海でも春になるとたくさん見ることができる春の風物詩「海そうめん」が水族館の水槽中でも見つかりました。
ザルに入れていると、新人の後輩が不思議そうに眺めていたので、「ラーメンと焼きそばどっちがいい?」と聞いてみると、「僕もそう思ったんですが、それは何ですか?」と。やはり不思議ですよね。これはアメフラシが産んだ卵です。黄色い方が産みたてほやほや、茶色い方は少し時間がたったものです。
アメフラシは海藻が生えている海に生息している大きなナメクジのような生き物です。春から夏にかけて磯でも見ることができます。そしてこの時期、アメフラシは産卵のシーズンを迎えます。「雌雄同体」と不思議な体のつくりをしていて、オスとメス両方の生殖機能を持ってはいるのですが、1匹では産卵できないので、他の個体とつながって産卵を行います。
海では多いときに5~6匹つながっているところを見たことがあります。この卵塊がまるで麺類のように見えるところから「うみそうめん」と呼ばれ親しまれています。また、アメフラシは見に危険を感じると、体から紫色の液体を出して、周りにいる魚を痺れさせます。人には害がほとんどないため、昔から染物の染料としても使われていました。
みなさんも海で「うみそうめん」を探してみてください。
魚類課 中村維沙