【希少淡水魚の保護】
鈴木 泰也(運営本部 展示部 魚類課 主任)
四方を海で囲まれた日本ですが、北海道から沖縄までの河川には固有の淡水魚が暮らしています。昔は各地でたくさん見られましたが、河川の護岸改修工事や外来生物の侵入など人々の生活の影響を受け生息環境が悪化し、一部の淡水魚は絶滅したり、ある地域でしか見る事が出来なくなったりと危機的な状況になっています。
水族館の役割のひとつに「種の保存」があり、自然で少なくなった生物の保護や野生復帰などの活動を行う場所でもあります。公益社団法人日本動物園水族館協会は、1991年から日本産希少淡水魚の保存に取り組み始め、10種から徐々に活動を広げ平成30年現在では16施設で18種類の保護、増殖を行っています。マリンワールド海の中道も、活動当初より福岡県久留米市に生息する淡水魚「ヒナモロコ」と北部九州産「ニッポンバラタナゴ」の保護、増殖に努めてきました。
私は1993年4月に入社し、淡水魚に興味もあったことから希少種の保護についてとても感銘を受けました。この活動で飼育員には限られた保護個体の中から継続的に繁殖させ、その種を絶やさないことが求められます。自然水域ではすでに絶滅寸前まで至った淡水魚を保護するという仕事は、大変有意義なものです。展示を通し、来館者へ自然保護を啓発することが水族館で生物を展示している意義だとも感じています。
今後、環境変化などにより様々な種が危険にさらされていく事が予測されますが、私たち水族館の保全活動が多くの種の存続に役立つことを願います。