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30年の軌跡 Vol.44

【飼育生物との関わりと新しい発見】

中村 維沙(運営本部 展示部 魚類課)

生物を飼育する中で、たくさん発見があります。生物たちのちょっとした変化に「あれ?」と思う事が大切で、その小さな変化から調査や研究のヒントがうまれるからです。私が経験したものをいくつか振返ってみます。

オウムガイの水槽の中に見たこともない不思議な形のものがくっついているのを発見し、これが卵とわかった時には軽い気持ちで孵化させてみたいと取り組みました。しかし、いつまでたっても生まれず、待ちきれず途中で開けたり、何度も失敗をし、他の水族館からも情報を得て、1年の月日をかけ当館でも小さなオウムガイの赤ちゃんを展示できた時はとても嬉しかったのを覚えています。

マリンサイエンスラボの実験で金魚に色を識別させるために、数人で毎日訓練をしました。するとお客様の前で、自分の決められた色を選んだり、決められた色のボールを運んでかごに入れたりと、金魚たちの小さな運動会を披露することができました。できないと決めつけるのでなく、やってみたら面白いことができた!という発見をすることもできました。

カスミサンショウウオは福岡では絶滅の心配があり、以前は水族館の周りでも見られたことを知り、調査を始めようと思っていた矢先、捕まえたという情報が入りました。ここから毎年調査に出掛けるようになり、生態調査のため卵からふ化させて飼育も試みました。今後は水族館でも繁殖させ、種を守っていくことにも挑戦しようと準備をしています。

私たちの仕事は、自然界から生物の命を預かり、その生物の事をより多く知ってもらう仕事です。生物の未来が少しでも明るくなるような努力は私たちの責任だと感じています。周りの環境を守る、種を絶やさないなど、小さなことでも少しずつ生き物たちに恩返しができればと思います。