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30年の軌跡 Vol.41

【スナメリの生態解明と保護活動】

藤丸 郁(運営本部 展示部 海洋動物課 係長)

1990年4月6日に当館では初めて混獲されたスナメリを保護しました。その時に福岡県近郊でも、小型のイルカ(スナメリ)が生息していることを知りました。それ以降、福岡県近郊のフィールド調査、飼育下での研究、他研究機関への情報提供や資料提供を行っています。

飼育下では繁殖を目指すと同時に、雌の排卵周期、雄の精子形成時期の把握を目標に血液中のホルモン濃度の測定を行ってきました。その結果,雌雄ともに発情周期を把握する事が出来、季節性があることが分かりました。さらに、将来の人工繁殖を目指すための基礎研究として,超音波画像診断装置による検査で、卵巣や精巣の状態を確認しています。画像からも血液検査と同様に季節による変化が確認できるようになり、漂着などで死亡した個体からの精子採集なども行えるようになりました。採集した精子は凍結保存し、人工授精に利用できれば飼育下における、遺伝的な多様性を保つことにつながると思います。

下関市立しものせき水族館、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」、マリンワールド海の中道は、スナメリの調査研究を共同で行うため、2005年から『瀬戸内海西方海域スナメリ協議会』を組織し、顧問に三重大学大学院教授を迎え活動しています。瀬戸内海の西方海域という共通のフィールドをもつ3つの水族館が協力連携することで、生息域内のスナメリの生態を解明すると共に、飼育下での繁殖に向けた研究と技術開発を行っています。生息域内外でのスナメリの保全に努めるとともに、これからも積極的に生態解明と保護活動を行い、広くスナメリのことを知って頂きたいと思います。