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アカウミガメの社会(海)復帰

2018年1月11日福岡県福津市勝浦海岸で元気のないアカウミガメがいるとの連絡をいただき、当館で保護しました。アカウミガメの状態は、体温がとても低く全身に力がなく良い状態ではなく、むしろ生命の危機さえ感じるほどでした。
まず冷え切った体をゆっくりゆっくり温め、獣医による血液検査・レントゲン検査・二次感染予防の注射・脱水対策などを施していくことで、少しずつですが、危機的な状態を脱することができました。その後は餌を食べる練習や海水中を泳ぐ練習などをやりながら、体力の回復を待ちました。
ウミガメ類は、冷たい海で長時間生活すると、体温が下がり運動能力が極端に落ちます。運動能力が落ちると暖かい海への移動もできず、さらに潜ることもできないためエサも捕まえることもできなくなり、やがて海面に浮いているだけの状態に陥ります。海面に浮いた状態が続くと甲羅が冷たい風に吹きさらされ、甲羅の裏側に位置している肺が冷やされることでさらに体温が下がり、重篤な肺炎を患い呼吸する体力もなくなり、最終的には溺死してしまうという悪循環に落ちいります。そもそもなぜ、冷たい時期の海にウミガメ類が存在するのかは、よくまだ解っていません。
今回保護したアカウミガメは、約6ヶ月間の治療とリハビリテーション期間を終え、ようやく体力も回復し体重も増えたため、2018年7月16日の海の日に、発見された海岸より社会(海)復帰をしました。ぜひ、助かった命なので今度は大丈夫であることを願うばかりです。


展示部魚類課 宮地勝美