【『伝説』の水族館への旅を続けよう】
岡村 卓也(社長)
「好きなことを仕事にしているという熱い気持ちと、動物への愛の気持ちがあふれていた」。関西からお越しの19歳男性のお客様からのこの感想は、何だかこちらが恥ずかしくなるような言葉づかいですが、マリンワールドらしさを言い当てているように思います。これまで国内外の数多くの水族館や動物園を視察してまいりましたが、実はその都度、「マリンワールドは素敵だなぁ」と感じていました。何がそう感じさせるのでしょうか。もしかしたら、このお客様の声にヒントがあるのかもしれません。
そういう目で改めてマリンワールドを見てみると、様々要因が考えられます。国営海の中道海浜公園内という恵まれた立地・環境・各機関との連携。立派で清潔な施設。古代からアジアに開かれたまち博多のおもてなしの気風。全国から熱い思いを抱いて集まってくれた、多様性に富んだ元気満点のスタッフ。30年前は水族館未経験者が多かったスタッフが、お客様を感動させようと脈々と重ねてきた様々なチャレンジ。ともに成長を続けてきた協力会社とテナントの皆様。等々、これらが絶妙にブレンドされ、結晶化された「奇跡のDNA」が組成されているのではないでしょうか。また、生活している動物たちに注いできた愛情はもちろんのこと、個々の動物たちを理解しようとする気持ちも半端なく、動物たちの生き生きとした姿だけでなく、動物たちと人間が相互に信頼しあっている姿をお客様に披露することができています。これらが冒頭のお客様の感想に繋がったのではないかと感じております。
「章立てはできた。ここにどんどん物語を書き込んでいって欲しい」。平成29年、マリンワールドの第二幕となる全館リニューアルのグランドオープンにあたり、中村館長が檄を飛ばしました。スタッフ全員、これから先もずっと、章立てに沿った第二幕の脚本をそれぞれのパートで練り上げ綴り続けていくわけですが、その際、30年間で培ってきた「奇跡のDNA」を活かし、かつ、これをさらに進化させていく必要があります。一人ひとりが創造力を研ぎ澄まし、時に生みの苦しみを乗り越えて、「お客様の笑顔」という最高の悦びをスタッフ全員で分かち合いたいと思います。
そして奇しくも時代は、平成から次の時代へと移っていきます。マリンワールドでは、平成元年の開業から始まった第一幕が平成の時代とともに過ぎゆき、そして、第二幕がその次の新しい時代とともに歩んでいくことになります。新しい時代の変化の方向を敏感に感じとり、一歩先を行く物語を日々綴ってお客様に夢や希望や元気をお届けすることを続けていけば、必ず50年後、100年後に『伝説』の水族館として名を馳せることになるでしょう。既にマリンワールド海の中道は、かつて福岡にあった箱崎水族館や福岡水族館のように、地域の宝物であり水族館史にも刻まれていますが、この先も私たちは、この大切な宝物を守り、さらに新しい歴史を刻む旅を続けられることの喜びを日々噛みしめながら、前進していきたいと思います。