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外洋大水槽の小さな生き物たち

マリンワールドの外洋大水槽は魚の水槽の中で一番大きく、水量は1400t(小学校の25mプールの水5-6杯分)あり、50種類約2万匹の魚が暮らす迫力満点の水槽です。
ここで暮らすカツオの仲間『スマ』の繁殖行動が2018年9月に見られました。雄が雌を高速で追いかけたり、泳ぎながら水中に精子を出したりする行動が当館では初めて観察されたので、その卵を採るために水槽の排水口に目の細かいネットを仕掛けました。しかし、一緒に暮らすマイワシたちがスマの卵を食べてしまうのか、来る日も来る日もなかなかスマの卵を見ることができません。繁殖行動が続く間、毎日ネットの確認をしましたが、残念ながら最後までスマの卵は採れませんでした。

 


カツオの仲間『スマ』

 


排水口に仕掛けたネット

 

しかし、ネットには細かいごみと一緒にたくさんの小さな生き物が採れました。この大きな水槽で1-2ミリの生き物が採れるなんて思ってもいませんでした。今回はそのほんの一部をご紹介します。

まず、最も多く見られたのは『カイアシ』で、大きさが1-2ミリ位のエビやカニの仲間です。カイアシはとても栄養価が高く、海では小魚の大切なエサになっており、『海のお米』とも呼ばれています。なかには、卵を持つカイアシのお母さんも観察され、赤ちゃんはエビやカニと同じく脱皮を繰り返して成長していきます。

カイアシのお母さん。赤い点は眼、右側の粒々は卵

 

続いて多く見られたのは『カイミジンコ』で、1ミリ以下のエビやカニの仲間です。2枚の殻に覆われ、この殻をパタパタと開閉させて活発に泳ぎます。海、川、池など水のある場所ならどこにでも生息しており、生き物の糞を食べてくれるお掃除屋さんです。

 

カイミジンコ

 

この他にもたくさん見られたのは『ヨコエビ』で、5-10ミリ位のダンゴムシやフナムシの仲間です。普段は岩の影にじっと隠れて敵から身を守っています。そのため、隠れやすいように体は薄く、体の側面どちらかを下にして移動します。

 

ヨコエビ

 

このように普段は目に見えない小さな生き物たちが、顕微鏡で見てみるとたくさん観察できました。この小さな生き物たちも魚たちの糞を食べ、餌となり、目に見えないところで海と同じようにこの水槽を支えてくれているのかもしれません。スマの卵が採れることを目指しながら、外洋大水槽にはどんな小さな生き物が生活しているのか、観察を続けていきたいと思います。

魚類課
杉山明日香