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30年の軌跡 Vol.11

【Ⅱ期工事への思い】

高田 浩二(前館長)

マリンワールド海の中道は、平成元年に当初計画の左側半分でオープンしました。そもそもこの水族館は、白亜の貝殻をモチーフにした建築家「磯崎新」の作品で、完成すると美しい扇形の建物になることになっていました。このため、残る右側を構築する仕事がさっそく平成2年から始まりました。

私は、昭和63年採用のⅠ期入社ですが、この時は既に左半分の実施設計が出来上がっていため大幅な変更修正が間に合わず、飼育面や入館者への利便など、主に管理運営面に課題が山積していました。このため、Ⅱ期工事では、より使い勝手がよくまた時代のニーズに即した完成度の高い水族館にするために、Ⅰ期での反省や問題点を洗い出す作業から始めました。そのレポートの結果、発注と施工側である国土交通省が、その施設を使う側の要望、意見に十分配慮し、展示基本構想から大幅に見直していただけることになりました。さらに工事が始まると、国土交通省の現場監督官の計らいで「マリンワールドの承認も必要」という雰囲気が建築現場に醸されるようになりました。それは、Ⅰ期の反省もありましたが「Ⅱ期ではマリンワールドが望む100%の成果品を提供するぞ」という監督官の強いリーダシップの表れであったと感じます。

このため私には、建築や設備などの設計、施工の図面が読め、構造や工法を理解でき、工程や工事手順が分かるなど、飼育技師としての力に加えて、設計や施工への能力も要求されました。私は知識や経験の浅さを埋めるために、施工に携われた多くの方々から、門前の小僧よろしく根気よく愛情をもって指導していただけ、そのおかげで多くの学びを得る機会にもなりました。私の中には、Ⅱ期の完成により水槽展示だけでなく、教育的な機能や施設ではどこにも負けないものを構築したいという目標もありましたが、皆さんの尽力のおかげで平成7年4月にグランドオープンを迎えました。私の自慢の水族館の完成でした。