マリンワールド海の中道

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2025.5.8

尾が無いもの

お久しぶりです。はじめましての方はよろしくお願いします。淡水生物担当の勢村です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。桜は散ってしまいましたが私の好きな湿地帯はある生き物達で賑わっている頃です。
そのある生き物の正体は何かと言いますと水辺と陸地両方を生きる「両生類」の仲間です。
 
「両生類」の代表的なものにはカエルやサンショウウオ、イモリがいます。子どもは水中生活を送り大人になると水辺や水辺からそう遠くない陸地で生活します(例:子ども、オタマジャクシ 大人、カエル)。なかには一生を水中で過ごすもの、一時期を陸地で過ごし水中に戻るものなど例外もいますが、国内の種のほとんどはこのような生活史を送っています。そして「両生類」は尾が有る「有尾類(サンショウウオ、イモリなど)」と尾が無い「無尾類(カエル)」に分ける事ができます。
現在、国内からは外来種を含めた有尾類、無尾類それぞれ約60種類が確認されています。
そのうち福岡県では有尾類8種類、無尾類11種類(うち1種は特定外来種)計19種類が記録上は確認されています(現在確実に確認できるのは18種)。意外にも福岡県には多くの両生類が生息しています。今回はその中から11種類のカエルをご紹介したいと思います。
 
まずはじめに紹介するのは福岡県で最も見かける機会が多いこの2種、ヌマガエルとニホンアマガエルです。

1.ヌマガエル


2.二ホンアマガエル


田んぼに水が入る時期になると田園地帯は彼らの大合唱でとても騒がしくなります。
ヌマガエルはたくましく都市部に一面だけ残された田んぼでも見かける事があります。二ホンアマガエルは繁殖期以外は樹上で生活しているので、樹木の多い環境が近くにある田んぼに多く、とても観察しやすいカエルなので田んぼに水が入った頃に覗いてみてはいかがでしょうか。
 
次は先にご紹介した2種より少し自然の多い地域に生息するシュレーゲルアオガエルとツチガエルです。

3.シュレーゲルアオガエルの幼体


4.ツチガエル


シュレーゲルアオガエルはアマガエルに似ていますが、鼻と目から鼓膜方向にかけての黒いラインがないことが特徴です。鳴き声もクワァックワァックワァッ!と鳴くアマガエルに対しケロロッ!ケロロッ!とよく響く高めの声で鳴きます。
ツチガエルはヌマガエルに似ておりどちらも「イボガエル」と呼ばれることがありますが、ツチガエルの方がより大型です。また腹部の色が真っ白なヌマガエルと比べると暗い色やまだら模様が目立ちます。そしてなんとこのカエルは水中でも鳴くことができます。スゴイ!
 
川にもカエルは棲んでいます。中上流域にはカジカガエル、沢など小規模な流れの周辺にはタゴガエルが生息しています。

5.カジカガエル


6.タゴガエル


カジカガエルは日本で最も鳴き声の美しいカエルといわれており、上流域の荒々しい流れの音の中でも透き通るような美声を響かせます。
タゴガエルは春の繁殖期になると沢周辺の水が滴る程度に湿った穴の奥深くで鳴くため、まるで地面が鳴いているのでは?と錯覚してしまいます。そのためあまり姿は見えませんが沢が近くにある山道を歩いていると出会う事ができます。
 
次は出会うのが少し難しいカエル達です。というのも生息地の環境の悪化や消失、外来種の影響で数を大きく減らしているからなんです。そのため福岡県のレッドデータブック2024(絶滅のおそれのある野生生物を選定したリスト)では絶滅危惧種に選定されています。絶滅の危険性は高い順に絶滅危惧ⅠB類、Ⅱ類となっています。

7.ヤマアカガエル 絶滅危惧ⅠB類


8.ニホンアカガエル 絶滅危惧Ⅱ類


9.二ホンヒキガエル 絶滅危惧Ⅱ類


10.トノサマガエル 絶滅危惧Ⅱ類


 
最後にご紹介するのはウシガエルです。

11.ウシガエル


特大です。特大のカエルです。強く大きくムキムキでカッコいいんですが少し訳ありな種類でもあります。原産地はアメリカとカナダの一部で1918年に食用目的で日本に導入されました。旺盛な食欲と高い運動能力で在来種を襲います。ウシガエルの侵入により在来のカエルが見られなくなった池もあり、時には小鳥やネズミも捕食してしまいます。
そのため、生態系への悪影響が懸念され2005年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」により特定外来生物に指定されました。これにより飼育や生きたままの運搬、他の場所への放流が禁止されているので注意が必要です。
連れてこられた彼らに罪はありませんが、被害があるなら対策しなければならないというのが現状です。しかし、生き物としてはとても魅力的な生き物で個人的にも好きなカエルのひとつです。
 
さて、ここまで長々とカエルについて語ってしまいましたが、既に文字数は2000文字を越えようかというところまできています。カエルについて語り始めると30000文字くらいになってしまいそうなのでこの辺で終わりたいと思います。これを機に少しでもカエルや両生類について興味を持ってもらえると嬉しいです。ありがとうございました。
 
魚類課 勢村 天珠

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