皆さん、タナゴという淡水魚をご存知ですか?
あまり聞き慣れない名前ですが、日本には外来種を含む12種9亜種(18種)のタナゴの仲間が生息しています。
マリンワールドでは主にニッポンバラタナゴを中心に繁殖に取り組んでいますが、タナゴの仲間には少し変わった繁殖生態があります。
それは、メスがお腹から伸びる産卵管でヌマガイ類(淡水二枚貝)の中に産卵するというものです。
ニッポンバラタナゴのオス
ニッポンバラタナゴのメス
そのためタナゴ達はこの二枚貝がいなければ繁殖ができません。
しかし、その二枚貝も生まれたばかりの幼生の時にハゼやドジョウなど他の魚に寄生しなければ成長できません。
タナゴが繁殖するためにはヌマガイ類が必要で、ヌマガイ類が繁殖するためには他の魚が必要という複雑な関係で、どれか一つでも欠けてしまうとタナゴは絶滅してしまいます。
ヌマガイの仲間
ゴクラクハゼ
このように生き物たちは一見関係がなさそうでも互いを利用し、関わり合いながら生きています。
各地で生息環境の悪化が進み、これらの生き物達は数を減らし続けています。
マリンワールドでは「生き物達の繋がり」を大切にしながら保全活動を行っています。
二枚貝から生まれ出たニッポンバラタナゴの稚魚
魚類課 勢村 天珠