マリンワールド海の中道

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2021.4.23

東京小笠原村のシロワニ調査

東京都から約1000km離れた太平洋上の火山島、小笠原諸島。

独特の自然があることから2011年に世界自然遺産に登録されています。周囲52kmからなる父島の人口は約2100人。南に位置する母島は人口約440人。無人島の聟島(むこじま)、兄島、弟島、妹島など各島々が家系のような名称で構成されています。仕事や観光で来島する場合、空港はなく東京からフェリーで24時間かかります。小笠原の海は「ボニンブルー」と呼ばれどこまでも澄んだ蒼い海が広がります。

 

航路

 

週1便で都内と小笠原を結ぶフェリー「小笠原丸」

 

出港場所の竹芝桟橋と到着地の父島港 どちらも東京都

 

私たちが九州から遠く離れたこの島に行く理由は、国内で唯一「シロワニ」が生息する海だからです。シロワニはサメの仲間で当館の外洋大水槽では1995年から飼育しており、国内で初めて飼育展示を始めたのが、マリンワールド海の中道です。

 

水深40mで撮影した野生のシロワニ

 

私たちは3年前からシロワニを飼育する全国の水族館で特別なチームを作り、シロワニの生態研究をしています。その調査の一つとして小笠原に生息する野生のシロワニに衛生発信機と超音波発信機を取り付け、自然界での行動範囲、水温域など水槽内では得られない情報を調べています。

 

背びれ付近に2つの発信機を取り付けたシロワニ

 

小笠原父島ではダイビングで容易にシロワニを観察することもでき、島在住のインストラクターや観光で訪れるダイバーに写真の提供を求めています。シロワニの体側を見ると、斑紋がありこれは人の指紋のように変化することが少なく、写真から個体識別ができます。これにより、小笠原での行動範囲や生息密度を知ることができます。

 

ダイバーからの情報が頼り これまで20個体以上の写真台帳が出来上がっている。

 

水族館では水槽展示だけでなく、生き物の生態調査研究も大事な仕事の一つです。これらの研究で分かったことは論文掲載や、学術会議などで発表することができ、水族館として大変有意義なことになります。

また、シロワニは繁殖が難しく、国内の水族館では繁殖例が未だなく、自然のシロワニを知ることで、何とか繁殖までに結び付けたいと考えています。

当館1Fの外洋大水槽では、小笠原での調査研究のコーナーもあるので、ご来館の際にはこちらもご覧ください。

 

小笠原のコーナー

 

魚類課 鈴木 泰也

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