ダイエットと聞くと、耳の痛い方が多いのではないでしょうか。
もう少し痩せたいけど、運動はしたくない、食べたい欲望が…など、とてもつらいものですよね。
さて、魚の飼育では、エサの量をコントロールするのは私たち飼育係の役目です。
自宅で魚など生き物を飼っている方は、栄養あるエサを与えることや与えすぎにも注意すると思います。
水族館の飼育係は何十種類もの生き物を管理するなか、特に注意しなければいけないのは大型水槽の生き物です。1つの水槽に数匹の魚であれば管理は楽ですが、当館の外洋大水槽になると2万匹のマイワシ、3mのサメ、じっと水底で動かないエサを待ち続ける魚など様々な種類が一緒に飼育されています。
もし、サメにエサが行き渡らなかったらどうなるでしょう?
皆さんも想像の通り、他の魚が襲われますよね…。
マリンワールドでは25年前から「シロワニ」という厳つい顔をした全長3m近いサメを飼育しています。
顔に似合わず、それほど獰猛ではなく、しっかりとエサを与えていれば同居する魚をほとんど襲いません。
飼育する側としては大変ありがたいサメなのですが、困ったことがあります。
しっかりとエサを与えていると肥満気味になることです。特にメスは大きくなりやすく、そして困ったことにナイーブな!?オスはメスの迫力に押され、何日もエサを食べないことも珍しくありません。
そこで、オスの食欲向上を目的に、市場から仕入れた「サバやイサキ」など私たちがお刺身でも食べられる新鮮な魚をエサとして与えることにしました。
すると、思ったとおり反応がすごいことに!!
マリンワールドの外洋大水槽では、シロワニにはダイバーが手渡しでエサを与えていますが、メスは食べたい一心でダイバー近づくようになったのです。
ダイバーはメスをかわしつつ、ナイーブなオスにエサを与えています。
直接手渡しでエサを与えることで、エサの量もコントロールでき、メスには程よくダイエットを促すようにしています。
目指せ!スリムなサメらしい体型を!!
魚類課 鈴木 泰也