【かいじゅうアイランド誕生】
岩田 知彦(副館長)
かいじゅうアイランドは開館20周年を記念して、2009年にできました。コンセプトはアシカ類の繁殖と余生を過ごせる場所を作ることでした。ショーとは切り離した場所で繁殖に専念させられ、またショーを引退した後もゆっくりと過ごせる場所を作ることで、「ゆりかごから墓場まで」ではありませんが、持続可能なショー運営と終生飼育の責任を全うすることができると考えたのです。ただ、実際には展示としても魅力あるものにしなければなりませんので、お客様に動物を如何に近くで感じてもらえるかということに神経を注ぎました。皆で意見を出し合うのは楽しくもありましたが、時間、予算が限られているなかで、工期の遅れや、工法の変更などプレッシャーとの戦いでもありました。
また、当館は国営公園内の施設であるため、それまでの施設はすべて国が整備していましたが、かいじゅうアイランドは自主的に建設した初めての施設であり、計画にGOサインを出した当時の安田社長、国との窓口となった石井本部長は、大変なご苦労をされたことと思います。その甲斐あり、オープンしてすぐにゴマフアザラシが出産したのを皮切りに、その後カリフォルニアアシカも順調に繁殖し、今ではかいじゅうアイランド生まれのアシカたちがショーの主役を張るまでに成長しています。
計画段階では、社内でWA20プロジェクトと呼ばれ、このWAには和や輪といった意味が込められていました。出来上がったかいじゅうアイランドは上から見ると∞のように見え、私には動物たちが命をつなぎながら、将来にわたって水族館を継続していくことを象徴するかのようにも見えました。