みなさんは「海藻」と「海草」の違いは分かりますか?
「海藻」はワカメやコンブなど海に生息する藻類の総称です。
一方「海草」は陸上で進化した種子植物が海の生活に適応したもので、今回は「海草」の代表種であるアマモについてのお話です。
当館3階ではアマモが繁茂する「アマモ場」を再現した水槽を展示しています。
このアマモですが飼育することがとても難しいんです。
採集した時は元気な状態でも、環境を整えてあげないとすぐに枯れたり成長が止まったりします。
そのため何度もトライアンドエラーを繰り返してきました。
そして現在、なんかいい感じになっています!
ここで試行錯誤の中で行った工夫の一部を紹介します。
① 栄養供給のため魚を増員
植物の成長には窒素やリンなどの栄養が必要です。
魚たちがたくさんエサを食べ、フンを出せば、砂の中の微生物やマナマコが植物の栄養に変えてくれます。

エサをもりもり食べているヒイラギ
② ヒメハゼ・マナマコ・トゲモミジガイの砂ほぐし隊の投入
アマモは砂の中で根を張ります。しかし、砂が固いと上手に根を伸ばすことができません。
そのため表面をかき混ぜるヒメハゼやマナマコ、砂の中に潜るトゲモミジガイが砂を柔らかくします。

普段は砂の中に隠れているトゲモミジガイ
③ 野外のアマモ場の砂を導入
水槽内でも微生物は増えますが野外に比べれば乏しいです。
そのため野外のアマモ場の環境に近づけるため、部分的に野外の砂を入れてみました。

砂の上をならすヒメハゼ
照明、水温、水流、塩分など様々な要因の調整をしてきましたが、上記の工夫を凝らしたことによって成長が良くなりました。
私たちのチームの中では「土壌」の改善が効果的と感じています。
アマモに限らず、状態が良い生き物でも季節や水質の変化で状況はガラッと変わることがあります。
そのため飼育員は担当している生き物が健康に長く生きられるように日々試行錯誤を繰り返しています。
その工夫は足しげく遊びに来ていただけると気付けるかもしれません。
魚類課 鈴木 鴻之