マリンワールド海の中道

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2023.1.22

透明なゆで卵?

先日、ネットでこんな記事を見つけました。

 

ペンギンの卵を茹でると「透明なゆで卵」になる?! その理由は? – ナゾロジー (nazology.net)

 

ジェンツーペンギンのゆで卵は白身部分が透明になる、というお話です。
なんでも、ジェンツーペンギンの卵の卵白にはペナルブミンというたんぱく質が多く、これが透明になる要因なのだとか。
このペナルブミンは不凍たんぱく質と呼ばれ、南極海に棲む魚やペンギンが極寒の地でも凍らないようにする働きがあるのだと言われています。
記事に登場するジェンツーペンギンも南極やフォークランド諸島など、寒い地域に生息するペンギンです。

 

ここで、気になるのが、「マリンにいるケープペンギンの卵も透明になるの?」ということ。
ケープペンギンはジェンツーペンギンとは違い、南アフリカという比較的温暖な地域に生息するペンギン。
同じペンギンでも、不凍たんぱく質を作る必要のない、温暖な地域に生息するケープペンギンの卵は透明にならないのではないだろうか…と思いました。
くしくも秋から冬にかけてはケープペンギンの産卵シーズン。
ケープペンギンはIUCNのレッドリストで絶滅危惧種(EN)に指定されている種類なので、その卵を気軽にゆで卵にするわけにはいきませんが、無精卵だったり、産卵後に親鳥が温めなかったために発生が進まない卵が出てきます。
そこで今回、こうして残念ながら発生が確認されなかった卵をゆで卵にする実験をしてみることにしました!

こちらが今回茹でた卵。
ニワトリの卵と大きさはほぼ同じです。
これを15分ほど茹で、剥いて、半分に切ってみました。

写真では分かりにくいですが、白身の部分は真っ白にならず、半透明でした。
火がきちんと通っているのは、黄身の固まり具合でお分かり頂けるかと思います。
ネットのジェンツーペンギンのものほどではないですが、やはり少し透明になりました。
温かい地域にすむペンギンなのに…なぜ??

 

ここで、ペンギンの進化の歴史について考えてみます。
進化の歴史|科学バー (kagakubar.com)
こちらのブログにも書いてありますが、現生のペンギンは全て、共通の祖先から進化したと考えられており、その祖先は南極周辺の寒冷な地域に生息していました。
つまり、今は暖かい地域に生息するケープペンギンですが、その祖先は寒い地域に生息していたのです。

 

ここからは推測ですが、ペナルブミンを作ることができるようになったのは、ケープペンギンの祖先が寒い地域にいた頃なのかもしれません。
いまのケープペンギンはわざわざ不凍たんぱく質を作る”必要”はないけれど、先祖が獲得したペナルブミンを作ることができる能力の”名残”があるのかも。

 

ゆで卵から進化の歴史を感じることのできた実験でした。

 

展示部 近藤 圭佑

 

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