私が担当する外洋大水槽は、イワシの大群をはじめ大型のサメやエイ類など見ごたえある水槽ですが、岩陰や水槽底でじっとしているちょっと地味なサメも魅力です。
こげ茶色で縞模様が特徴の「ネコザメ」は愛嬌のある顔つきでこの水槽に欠かせない存在です。
顔がネコに似ていることから名づけられましたが、皆さんいかがでしょう?似てますか?
別名は「サザエワリ」!貝のサザエをかみ割り食べることからだそうです。
歯の形状が古い形質を持つことから、原始的なサメに位置付けられています。
全長80㎝程度の小型のサメですが、3月から4月の産卵時期には20㎝ほどの大きな卵を産みます。ドリルのようにねじれた卵は特徴的です。
私たちは水槽で産み落とされた卵を見つけると、予備水槽に移動し、卵にカビなど生えないようにかごに受けてふ化まで見守ります。
順調にいけば、約10ヵ月で大きさは20㎝、体重は70gほどの赤ちゃんの誕生です!!
生まれた時から、大人と同じような顔つきですが、ひれが大きくバランス的にあどけなく見えます。
人の赤ちゃんであれば、親がしっかりとケアして育てますが、サメなど多くの魚は子育てをすることはなく、生まれた赤ちゃんは自分で生きていくしかありません。
自然では無事生まれたとしても、大人にまで成長するのはかなり厳しいことでしょう。
水槽では外敵もなく、私たちがケアをして育てます。
エサはふ化した翌日から食べることが多く、イカを細切りにした「イカソーメン」にビタミン剤をまぶしてピンセットで口元に与えます。
こうしてすくすくと大きくなるネコザメですが、水槽では1年で39㎝、470gになり、卵が産めるように成熟するまでには10年ほどかかります。
現在、赤ちゃんネコザメは3Fの小型水槽で展示しています。
夏以降、成長により展示変更するかもしれませんので、今だけのあどけない姿、ぜひご覧ください。
魚類課 鈴木 泰也