マリンワールド海の中道

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2019.2.18

30年の軌跡 Vol.45

【国内初!フサギンポの繁殖に成功】

岡村 峻佑(運営本部 展示部 海洋動物課 係長)

2010年4月19日、毎朝の日課である水槽の点検中に、フサギンポが産卵していることに気づきました。北海道や東北地方など冷たい海に生息し、現地のダイバーにも人気の魚ですが、過去に飼育下での繁殖例がありません。その日から観察を開始し、20日後には内部に眼が出来ているのが確認できました。孵化が近づくと、毎日水槽が気になってしかたがありません。そして6月22日、約5,000尾の仔魚がいっせいに孵化しました。それを見た瞬間の感動は今でも鮮明に覚えています。全長はわずか13mmほどで、全身透明な姿はとても親とは似ていませんでした。水質に敏感なため、水換えには時間をかけ、休日返上で毎日世話をしていました。エサは野生下で食べているものを準備することはできないため、成長に合わせて小さな動物プランクトンやタラコ、サケやアジのミンチ肉など試行錯誤で用意した結果、すくすくと育ってくれました。2ヶ月後には顔の周りに皮弁と呼ばれるフサフサが生え始め、半年後にはすっかり親と同じ姿へと成長していきました。

その後、日本動物園水族館協会より、飼育している生物が国内で初繁殖した際に送られる「繁殖賞」を受賞しました。稚魚たちと受賞の喜びを共有できましたが、2017年のリニューアルではテーマが『九州の海』となったため展示構想から外れてしまい、稚魚たちは他の水族館などに引っ越していきました。子を見送る親の気持ちで送り出しましたが、今でも元気に暮らしてくれていることを願っています。

飼育下で生き物が繁殖することは、生態や習性を知ることができるだけでなく、自然へ負荷をかけずに展示が出来ることにも繋がります。今後も多くの生き物の繁殖を目指していきたいです。

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